元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「サマータイムマシンブルース」

2006-01-06 18:52:34 | 映画の感想(さ行)

 大学の部室に突如として現れたタイムマシンをネタにしたドタバタ劇。なかなか面白い。タイムトラベル物としては極端にスケールが小さいのが秀逸。何しろ“壊れたクーラーのリモコンを取りに昨日に戻る”といったレベルなのだから嬉しくなる。

 何気ない平穏な“一日”が大いなるアドベンチャーと化してしまうギャップ、それでいてストーリー面ではタイム・パラドックスをしっかりと抑え、ラストで収まるところに収まってしまう筋書きには感心した。本広克行の演出は「踊る大捜査線」同様にテンポが良く、最後まで飽きずに楽しませてくれる。

 キャラクターについては意見の分かれるところだろう。登場する大学生達はとにかく狂騒的。あまりのやかましさに辟易する観客も多いはずで、それが作品自体の低評価にも繋がるとは思うが、個人的なことを言わせてもらえば、学生時代に私が属していたサークルの喧噪ぶり(及び、いい加減さ)はこれ以上だった(笑)。だから、この程度では別に驚きもしない(爆)。逆に、瑛太扮する主人公のマジメさが浮いてしまった。

 ヒロインの上野樹里も妙演で、「亀は意外と速く泳ぐ」もそうだが、こういうボーッとした役が実に良く合う。「亀は~」と同様、地方(香川県善通寺市)でロケされているが、そのことが元は舞台劇であるこのネタの“演劇臭さ”を良い意味で中和している。

 なお、映画館に入場する際になぜかシャンプーとリンスを貰った(配給会社提供)。見るとヴィダルサスーンである。たぶん映画の中で上野樹里あたりが使っているのだろうと思ったら、劇中ではトンでもない野郎が使用しており、これには正直参った(激爆)。
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「亀は意外と速く泳ぐ」

2006-01-06 06:48:34 | 映画の感想(か行)
   
ひょんなことから“某国のスパイ”になってしまった若い主婦をめぐるコメディ編。間違いなく、昨年公開された日本映画の中では一番笑える。

 最大のポイントは“普通の市民であること”の“曖昧な立ち位置”を喜劇として昇華させている点だ。スパイとしての主人公の使命は“指令があるまで、普通の生活をする”というものだが、これが極めて難しく、彼女が四苦八苦するごとに“普通”からどんどん遠ざかってゆくあたりが面白い。

 特に“スーパーでの普通の買物”とか“ファミレスでの普通のメニューの注文”とかいう局面で、一見プロの先輩スパイと似たような行動を取っているようでいて、その微妙な違いが傍目からは全く“普通”とは見なされないあたりは大笑いだ。三木聡監督(脚本も担当)の目の付け所は秀逸である。

 上野樹里扮する天然ボケのヒロイン(フェッフェッフェッという笑いとピント外れのモノローグがケッサク ^^;)もさることながら、蒼井優演じる友人のアブノーマルぶりや岩松了&ふせえりの不気味なスパイ夫婦(爆)、もっと不気味な嶋田久作の捜査員やヘンな温水洋一の美容師など、登場人物全員が“立って”いるのも嬉しい。おかしな大道具・小道具等も相まって1時間半を存分に楽しませてくれる。

 そして舞台が田舎町(神奈川県三浦市)であるのも効果的で、今後は首都圏ロケでは嘘っぽくなる現実離れした設定の作品はどんどん地方で撮られるようになるのだろう。
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