元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「キング・コング」

2006-01-28 13:49:40 | 映画の感想(か行)
 たとえばエイドリアン・ブロディがナオミ・ワッツを救出するシーンで、二人が巨大コウモリに乗ってそのまま川に落ちたはずが、次の場面ではジャングルの中を走っている。いつ川から上がったのか。

 また、コングをクロロホルムで眠らせたくだりで、次の場面はもうニューヨークに飛んでいる。どうやってあの巨体をボロ船に乗せたのか。

 このように本作は、展開がブツ切れになっている箇所が目立つ。もちろん脚本の詰めが甘いせいもあろう。だが、ピーター・ジャクソン監督のことだから、これはたぶん当初撮られたはずの“完全版”のハイライトでしかないのではないか。あと一年もすれば“ディレクターズ・カット版”と銘打った上映時間4時間ほどのシャシンが短期間公開され、そのままビデオ化されるのであろう。同監督は「ロード・オブ・ザ・リング」でも同じ手口を使ったが、あまりファンをなめるのもいい加減にしてほしい。

 もっとも“これが完全版であり、別バージョンは存在しない”というのなら、こちらは“荒っぽい作りの娯楽編”として軽く片付けるしかないけどね(笑)。

 全体として76年製作のジョン・ギラーミン監督版よりはマシだが、大幅に進歩したSFXと1930年代の時代考証を除けば、大した映画ではないと思う。

 唯一笑ったのがジャック・ブラック扮する監督たちが女優を探すシーンで“フェイ・レイはどうだ? RKOで撮影中か”と言うところ。フェイ・レイは戦前のオリジナル版のヒロインで、RKOはその製作会社だ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする