気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2009-03-30 23:50:22 | 朝日歌壇
使い捨てカイロの如き給付受け身捨つる程の祖国を持たず
(長野市 平沢均美)

目を開けて息子見つめつ亡き母を炎(ひ)がつつみゆくインドの火葬
(堺市 坂本真由美)

全身の力をこめて押す校印ひとりひとりの三年間に
(香川県 山地千晶)

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一首目。給付金を使い捨てカイロにたとえたのが巧み。しかも寺山修司の歌の一部も引用している。短歌のワザを楽しませてもらった。
二首目。インパクトの強い歌。インドの火葬というのは、屋外でして、様子がそのまま見えるのだろうか。残酷である。そのとき少年の心を思うと、切ない。茂吉の『赤光』に「さ夜ふかく母を葬(はふ)りの火を見ればただ赤くもぞ燃えにけるかも」があるが、ここまでダイレクトではない。
三首目。作者は中学か高校の先生なのだろう。生徒を送りだす卒業証書を作っているときか。「全身の力をこめて」にそれまでの日々の苦労が垣間見える気がする。


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