気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

さくらあかり 加藤隆枝

2010-08-20 00:04:04 | つれづれ
氵(さんずい)に張るとはこんな感じかも初夏の朝日を浴びつつ歩む

「めくらぶどう もぎにゆくな」と叫ぶ祖母秋には秋の妄想をもつ

何時かをしきり問いたる祖母なれば祖父の忌日を選びて逝きぬ

感情の起伏もろとも耕してつやめく茄子を得たる母かも

空っぽの身は共鳴す秋の野のひかりあつめて立つ空壜に

よく澄んだ空からときおりぽつぽつとあなたの声のごときが降りくる

かなしみにうつむき歩むわたくしがふり仰ぐとき樟は照り返す

(加藤隆枝 さくらあかり 砂子屋書房)

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加藤隆枝さんは、短歌人の先輩。先日の全国集会で初めてお目にかかった。
秋田県から、だんなさまの車で名古屋まで送ってもらったとのこと、世の中にはそういうご夫婦もいるのだと、少なからず驚いた。
歌集は三冊目。短歌を始められたのは、永井陽子さんの歌に惹かれたからという。歌集を読んでいて、家庭環境が私と相当ちがっている。私にはわからない気苦労もあるだろう。立場のちがう人にも共感できる自分でありたいと思った。
六首目。七首目は、永井陽子さんへの挽歌。

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