気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人2月号 同人のうた その3

2011-02-10 16:36:22 | 短歌人同人のうた
あまくさのうるめ鰯の叫ぶ口 体を揃へひらきゐる口
(三井ゆき)

つきつめて思うほどのことでなし時雨れる夜を煮込む大根
(藤澤正子)

いつの日の桜かひとつ褪せたるが『兄国(えくに)』の鳥羽の頁より出づ
(春畑茜)

懐かしき人に会えそうな予感してあてどなく行く故郷の大丸
(栗明純生)

銀舎利に白子干(しらすぼし)のせ掻きこむをわれは至上のよろこびとして
(榊原敦子)

黄葉のともるゆふべや 短詩型文学なべて後悔のごと
(菊池孝彦)

いつよりか「さざんかする」という言葉使われいるを疎ましく聞く
(林悠子)

「落葉」と書きつつふいにうかびくる「落陽」吉田拓郎の声
(庭野摩里)

窓おおうレースの襞をふかくするうつろいやすき秋の光彩
(木曽陽子)

いひぎりの房実は高き梢まで多(さは)なりその色さにづらふ赤
(蒔田さくら子)

夢占の卦は何ならん紅白の蒲鉾抱えバスに乗る夢
(藤原龍一郎)

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短歌人2月号同人1欄より。

画像はいいぎり。季節の花300のサイトよりお借りしています。

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