気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

はるかカーテンコールまで 笠木拓 港の人

2019-10-13 00:18:33 | つれづれ
夕立は眼鏡を洗うためにある 楠の枝葉に無数のふるえ

ビニールの撥水加工うつくしと傘の内側より見ておりぬ

(永遠は無いよね)(無いね)吊革をはんぶんこする花火の帰り

水差しが日に透けていて白黒の写真の白いところは光

空港をくださいどうかてのひらにおさまるほどの夜の空港

捨てられた傘へと傘をさしかける最終バスを待つ束の間は

傘立てに誰かが濡れたまま挿した傘が隣の傘を濡らしぬ

たそがれは領域というより轍 京都御苑の砂利鳴らしつつ

過ぎ去れば映画みたいだ冷えた目にろうそくの火があんなにきれい

花瓶だけうんとあげたい絶え間なくあなたが花を受けとれるように

(笠木拓 はるかカーテンコールまで 港の人)

最新の画像もっと見る