気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

時時淡譚 小潟水脈 ながらみ書房

2019-10-09 22:48:37 | つれづれ
兎ひとつ座れる形にレジ袋ベンチにありて夕暮れてゆく

カレー食はせた知人の歌集の批評会意地でも短歌にしやうぢやないか

暗き窓にわが首ひとつ流れたり電車ゆるゆる車庫へと動く

かくしごとしてゐるのかと問はれしは「書く仕事」のことカウンターの席に

包丁持ちて湖岸に出れば気も晴れむ研ぎ屋は今日から三日来てゐる

飯はまだかと言ふおつさんを持たぬこと幸ひとする夕の図書館

「富田尚三」線対称の氏名ある抜けられなかつた小路の正面

詰められた棒の重さだ六角のおみくじの箱振る時あるのは

佐佐木幸綱かと再び見る運転手ぐるりと大きくハンドル切れり

ホール出口に向かふ横顔靴脱いで会ふことはなき人と思へり

(小潟水脈 時時淡譚 ながらみ書房)


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