気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2010-02-01 19:53:43 | 朝日歌壇
みすずかる信濃の国のおほ母の雑煮いただく伯林の春
(ドイツ 西田リーバウ望東子)

どの程度やるんだろうという子等の視線浴びつつ授業始める
(豊橋市 鈴木昌宏)

耳遠きわれに届くは鳥の声にごらぬものに耳は応ふる
(小平市 水上ひろ子)

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一首目。ドイツ在住の作者。お正月を、故郷の信濃で馴染んだお祖母さま伝授のお雑煮で祝われたようだ。伯林の漢字表記が信濃と相まって美しく感じられた。
二首目。新任の先生の歌。先生も生徒から試されている。生徒は中学生か高校生かわからないが、冷たい視線を感じる。どんな職業もきびしい。
三首目。耳が遠いとご自分でおっしゃっている作者に届く声が、鳥の声であってよかったと思う。雑音を聴きたくないために補聴器をしないという話も聞く。私自身、乗り物の案内、お店の宣伝などを聞き流したいけれど、気になって仕方ないことがあって辛い思いをしている。一番つらいのは、バスの中の他人のおしゃべり。「静かにしてください」とは言えないので、耐えるだけ。わたしの心が濁っているのかと、ふと思ってしまった。


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