気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

科学を短歌によむ 諏訪兼位

2007-11-19 00:48:28 | つれづれ
ザンビアの銅延棒に腰おろしコカ・コーラ飲みし国境の町
(諏訪兼位)

染色体ふたつにわかれゆく午後はカーミンの紅(べに)はつか滲(にじ)みぬ
(三好みどり 律速 砂子屋書房)

屈まりて脳の切片を染めながら通草のはなをおもふなりけり
(斎藤茂吉 赤光)

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『科学を短歌によむ』は、岩波科学ライブラリーのシリーズの本で著者は諏訪兼位。
諏訪は、東京大学理学部地質学科卒で、名古屋大学教授、地質学が専門であるが、短歌を作り、朝日歌壇に投稿して、何度も取り上げられている人である。
この本は、科学者でありつつ、歌人でもある人という切り口で、多くの歌人とその作品を紹介している。
斎藤茂吉、岡井隆、小池光、永田和宏、栗木京子と言った歌人は、もともと理科系。そこまで有名でなくても、新聞歌壇に投稿したり、短歌と科学に関わる人は多い。真実を見極めようとする姿勢が、短歌と共通するところがあるからだろう。
三好みどりさんは、朝日カルチャーをはじめ歌会などでもご一緒させていただくお友達だが、阪大の薬学部出身の研究者でもある。三好さんの歌は、茂吉の脳の切片の歌を連想させる。


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