今日も妻ボランティアより帰りきて夕餉の鯖の味噌煮焦がせる
(小田原市 田口誠一)
遠足に行くみたいだと病む妻は入院準備をさびしく笑う
(河内長野市 西川正治)
数学の補習授業をさぼりたる幼い理屈 つくつくほうし
(愛知県 山本早苗)
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一首目。つつましく殊勝なご夫婦だと思う。わが家なら「今日も妻歌の会より帰りきて夕餉のコンビニ弁当チンす」とでもなるのだろうか。ボランティアと鯖の味噌煮が作者の奥さまの人柄をしのばせる。
二首目。入院の準備のパンフレットは、ときどき古くて実情にあっていないことがある。でも患者としては文句を言うわけにも行かず、さびしく笑いながら準備をするしかない。病弱な妻を見守る夫のまなざし。
三首目。短歌は結句に跳んだ発想の言葉を持って来いと言われるが、これはその成功した例。理屈 つくつく・・・の音の遊びがおもしろい。「幼い」が口語だが、それもまた幼さを演出しているのだろう。
(小田原市 田口誠一)
遠足に行くみたいだと病む妻は入院準備をさびしく笑う
(河内長野市 西川正治)
数学の補習授業をさぼりたる幼い理屈 つくつくほうし
(愛知県 山本早苗)
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一首目。つつましく殊勝なご夫婦だと思う。わが家なら「今日も妻歌の会より帰りきて夕餉のコンビニ弁当チンす」とでもなるのだろうか。ボランティアと鯖の味噌煮が作者の奥さまの人柄をしのばせる。
二首目。入院の準備のパンフレットは、ときどき古くて実情にあっていないことがある。でも患者としては文句を言うわけにも行かず、さびしく笑いながら準備をするしかない。病弱な妻を見守る夫のまなざし。
三首目。短歌は結句に跳んだ発想の言葉を持って来いと言われるが、これはその成功した例。理屈 つくつく・・・の音の遊びがおもしろい。「幼い」が口語だが、それもまた幼さを演出しているのだろう。
うーん、ほほえましいとは思うけど、「妻」とか「夫(つま)」なんて出てくると、歌のよさが伝わりにくいなぁ。実感が無いんですね。
結婚していないから、っていうのもありますが、まだまだコドモなんです、僕は。
「理屈つくつくほうし」でしたね。おやすみなさい。
いやぁ、僕は精神年齢が低いから、わかりにくいでしょう。
それから、夫婦の相聞で大好きな歌を一首。
もろともに冬幾度を籠もりつつきみこそもつと知りたきひとり 今野寿美
思わずうっとりしてしまいます。
上句の「冬幾度を籠りつつ」がとても効果的。下句を読むとより一層、胸がじんわりと温かくなります。
旦那さんが誰だか知っているので、実感も湧きますし。
ひとの年齢というのは、わからないものです。現実に会っても、見た目より若いひと、老けたひとがいて、わかりません。またあまり聞くのも失礼だと思ってききません。
今野寿実さんの歌は、はじめて知りました。前半は漢字が多く、後半すくないのが、バランス良いと思いました。