気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

きのうの朝日歌壇

2006-09-11 11:17:27 | 朝日歌壇
今日も妻ボランティアより帰りきて夕餉の鯖の味噌煮焦がせる
(小田原市 田口誠一)

遠足に行くみたいだと病む妻は入院準備をさびしく笑う
(河内長野市 西川正治)

数学の補習授業をさぼりたる幼い理屈 つくつくほうし
(愛知県 山本早苗)

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一首目。つつましく殊勝なご夫婦だと思う。わが家なら「今日も妻歌の会より帰りきて夕餉のコンビニ弁当チンす」とでもなるのだろうか。ボランティアと鯖の味噌煮が作者の奥さまの人柄をしのばせる。
二首目。入院の準備のパンフレットは、ときどき古くて実情にあっていないことがある。でも患者としては文句を言うわけにも行かず、さびしく笑いながら準備をするしかない。病弱な妻を見守る夫のまなざし。
三首目。短歌は結句に跳んだ発想の言葉を持って来いと言われるが、これはその成功した例。理屈 つくつく・・・の音の遊びがおもしろい。「幼い」が口語だが、それもまた幼さを演出しているのだろう。



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4 コメント

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Unknown (森雅彦)
2006-09-11 22:59:19
こんばんは、近藤さん。

うーん、ほほえましいとは思うけど、「妻」とか「夫(つま)」なんて出てくると、歌のよさが伝わりにくいなぁ。実感が無いんですね。

結婚していないから、っていうのもありますが、まだまだコドモなんです、僕は。



「理屈つくつくほうし」でしたね。おやすみなさい。
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Unknown (かすみ)
2006-09-12 00:20:08
短歌は現実を報告するものではないのですが、つい現実の生活があらわれてしまいますね。また、実年齢とちがう精神年齢が出てしまうこともあります。今更、年をごまかしても仕方ないんですが。

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Unknown (森雅彦)
2006-09-12 22:49:35
因みに僕は何歳だと思いますか?

いやぁ、僕は精神年齢が低いから、わかりにくいでしょう。



それから、夫婦の相聞で大好きな歌を一首。



もろともに冬幾度を籠もりつつきみこそもつと知りたきひとり 今野寿美



思わずうっとりしてしまいます。

上句の「冬幾度を籠りつつ」がとても効果的。下句を読むとより一層、胸がじんわりと温かくなります。

旦那さんが誰だか知っているので、実感も湧きますし。
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Unknown (かすみ)
2006-09-12 23:39:45
森さん こんばんは。

ひとの年齢というのは、わからないものです。現実に会っても、見た目より若いひと、老けたひとがいて、わかりません。またあまり聞くのも失礼だと思ってききません。

今野寿実さんの歌は、はじめて知りました。前半は漢字が多く、後半すくないのが、バランス良いと思いました。
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