気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

空の空 竹山広歌集

2007-11-02 23:41:54 | つれづれ
川越えてわれに吠えきし犬ありきさくらといひき生き返り来よ

  ファルージャ作戦
連射する自動小銃の衝撃にはげしく動くファルージャの腰

蚊も来ざるまでにくすりの臭ふ身となりて八十四歳なかば

『竹山広全歌集』にふたつある誤字を気にすることも死なば終らむ

三万を越えし去年の自殺者のひとりひとりが渡りしこの世

小池光に移りゐん猫のにほひなど思ひて眠るまでのたのしさ

(竹山広 空の空 砂子屋書房)

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府立図書館で、竹山広の『空の空』を読んだ。
この歌集を買ってもらおうとリクエストしたが却下されたあと、「国会図書館から借りて、この図書館内でだけ閲覧できますが、どうしますか?」と尋ねられ、もちろんお願いした。後日、連絡をいただき、その場で読んで何首かをノートに写して帰った。
大正九年生まれで、現在八十七歳。心の花所属。被爆体験を作歌の原点にした『とこしえの川』が有名。年を重ねると、歌はだんだん自在になってゆく。

亡き父と同年代の歌人らの写真にさがす父の面影
(近藤かすみ)


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2 コメント

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Unknown (あらつ)
2007-11-03 14:04:06
こんにちは
 「蚊も来ざる」の歌。すごく迫力があり驚きです。
 さて、題詠百首を楽しませていただきました。ありがとうございます。わたしの好きな歌はたとえば、

始めからこんなつもりじゃなかったのカイワレ大根ずんずん伸びる
早世のわがちちははより給はりし時は豊けし 詩集をひらく
本日の返品作業しこしこと『美しい国へ』箱詰めにする
ほんたうのことを語ればせつなくて薄切りトマトを冷麺に乗す
赤とんぼが電車のなかに迷ひこむ秋の便りをメールで知らす
いつの日かふたりしんねり食べたきは夫婦ぜんざい大阪うどん
ただ一枚残しておきし八十円切手の茂吉は蔵王を眺む

などなどで、他にもたくさんありました。「茂吉」の歌は作者会心の一首ではないですか?
 それにしても「百」とは、「ようやるわ」という感じです(失礼)。
 さて私事ながら、この間「歌会」なるものに、二度参加しました(大阪)。なんにしろ、趣味だけで集まる会、というのはほんとにいいものですね。



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Unknown (かすみ)
2007-11-03 19:26:05
あらつさん こんばんは。

今月の角川公募短歌館の特選おめでとうございます。
しかも選者重なってるので★付きでした。

題詠100首は五年続けたので、500首出来たことになります。ちゃんと読んでいただいてありがとうございます。茂吉の歌は、快心の作ということもなく、自分ではそんなに気に止めずに作ったものを選んでいただいたなと思いました。
私は、何かのインスピレーションを得て作るタイプなので、お題があるとやりやすいです。そういう作り方に慣れてしまったのかもしれません。
これからも、ぼちぼち作って行きます。よろしく。
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