気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

楽園 藤原龍一郎歌集

2006-08-12 00:22:56 | つれづれ
根岸より地下鉄を二度乗換えてりんかい線で子規居士来れ

ジャズソング口笛で吹く洒落男この月光の値千金

黄昏に沈む世界のよろこびを五感に享けて果てし、と告げよ

圏外という人生をうべなえと液晶画面に175R

地下鉄に地下鉄の神都バスには都バスの神が憑きて静謐

(藤原龍一郎 楽園 角川書店)

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短歌人会の夏の会で、サイン入りで『楽園』を購入。帰りの乗り物の中で、ざっと読んでまたゆっくり読みなおしている。
題詠マラソンで知っている歌もあって嬉しい。
藤原龍一郎氏の特徴として、次のようなことを再確認。
読書量、知識が多いので、それを生かして古いものと新しいものを繋いでいる。俳句とのコラボレーション。体言止めが多い。固有名詞の多用。マニアックな芸能ネタが豊富(175Rは、イナゴライダーだったか)。フレーズの繰り返しが効果を生む。
表紙のデザインは、都会のイルミネーション、高速道路、高層ビルの林立を思わせる。
にぎやかな歌集だ。



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4 コメント

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Unknown (かすみ)
2006-08-13 00:38:41
森さん ありがとうございます。

精進いたします。
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Unknown ()
2006-08-12 22:11:00
いやいや、僕は好きですよ。近藤さんの短歌。

読んでいると、胸の辺りが温かくなってくるようで、近藤さんの心の豊かさが滲み出ていると思います。

僕も短歌を作るんですが、納得のいく短歌が作れずに日々悩んでいます。

何分、まだまだ経験が浅いですから。

それにしても、藤原さんのように、誰に対しても礼を重んじる姿勢はぜひ学びたいものですね。礼は尽くしても尽くし過ぎることはない、ということですか。有名な歌人の一面が垣間見られて大変うれしく思います。

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思えば遠くへ (かすみ)
2006-08-12 21:02:37
森さん こんばんは。

思えば四年まえ短歌人の夏の集会(甲府)にはじめて行ったとき、小池さん、藤原さんに会いました。当時はそんな遠くまで出かけることさえ冒険でした。藤原さんは初心者の私に、大きな身体を折るようにして丁寧に挨拶してくださいました。あれから少しは進歩したのだろうかと思う今日このごろです。
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はじめまして。 ()
2006-08-12 08:49:45
森といいます。(ハンドルネーム、名前は未定。)どうぞよろしく。



藤原さんは僕も好きです。こんなにも面白おかしく、固有名詞を多用する人って少ないですよね。藤原さんの他には島田修三さん、笹公人さんくらいでしょうか。

その作品は、諧謔性に満ちているかと思うと、社会派だったり、心にしみる挽歌だったり、豊富な知識とユーモアには驚かされっぱなしです。

「子規居士来たれ」という結句など、爆笑せずにはいられませんね。

歌集は持っていませんが「セレクション歌人」でぜひ読んでみたい歌人の一人です。
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