気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2007-11-05 20:11:13 | 朝日歌壇
言わざりしままに果てたる会議室に静かに並ぶ黒き皮椅子
(東京都 松本秀三郎)

ほとほととまた栗の実を落とす風少年兵の兄かも知れぬ
(山形県 清野弘也)

秋燦燦ショパンに漬かる三度目の職に就く日の前日ひと日
(上田市 武井美栄子)

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一首目。会議の終わった会議室で、意見を言えなかったことを後悔している作者。黒い皮椅子が並んでいるのは、社長報告とか、特に重要な会議だったのだろうか。作者のもやもやした心情が伝わる。
二首目。栗の実を落とす風から、戦死した若い兄の偲ぶ歌。年配に作者なのだろう。いつまでも忘れられない兄との思い出を思わせる。
三首目。作者は次の日から三度目の職に就くらしい。その前日、ゆっくりショパンを聴いて過ごしている。次の日から忙しくなるのを覚悟している様子が窺える。「漬かる」より「浸かる」の方が適切だと思うが・・・。



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2 コメント

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「選者の方々も・・・」 ()
2007-11-06 04:40:00
2首目の清野弘也さん、一度テレビ(「NHK全国短歌大会」)で拝見したことがあります。かすみさんの書かれている通り、年配の方でした。その後「朝日歌壇」で、癌の病いを得ながら、癌とともに生きてゆこうという大きなお歌を拝見したこともありました。テレビではインタビューの場面も放送されたのですが、「選者の方々も100パーセント自信をもってこれだと思って採られるのだろうか。この歌を採ってみたけれどどうかな・・・というお気持ちが残ることもあるのではないかと思います」と言われていたのが印象に残っています。
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Unknown (かすみ)
2007-11-06 10:39:59
寛さん こんにちは。

やはり、いろいろな短歌大会で研鑽されている方だったんですね。選者、要するに読者の気持ちを捉える技を持っておられる方だと思いました。

日曜の短歌人関西歌会の二次会で三島さんと寛さんのうわさをしていたんですよ。くしゃみ出ませんでしたか。

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