気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人11月号 同人のうた

2013-11-08 23:49:18 | 短歌人同人のうた
かの夏の夕べ夕べに無毛なるつむり洗ひきしやぼん泡立てて
(酒井佑子)

ゆふぐれの道にあゆみをとめてゐる白曼珠沙華ひとむらの前
(青輝翼)

鳩の湯の煙突いまは外されて母住む家の目印は消ゆ
(関谷啓子)

妻が茸になってうようだ 午後いっぱい栗コーダーカルテット聴いてる
(生沼義朗)

アフリカ系をとこの放つ香水の紙一重なる獣臭ぞよき
(紺野裕子)

パール入りプレストパウダー砕け散りとほき砂丘のひかりを撒けり
(洞口千恵)

意に添はぬなりゆきなれど今日はけふ夕の厨に菜を茹でてをり
(古河アヤ子)

天国ならどこにでもある新世界の串カツ屋の列にふたり並んで
(橘夏生)

  「土佐源氏」を読んでいた川本浩美
夜を逃げてどこかの町の橋の下しずかに生きておりはしないか
(谷村はるか)

高三郎の名前の由来は不明なりと解らぬことのあるはよきかな
(高田流子)

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短歌人11月号、同人1欄より。

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2 コメント

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Unknown (小川良秀)
2013-11-11 23:53:20
ゆふぐれの道にあゆみをとめてゐる白曼珠沙華ひとむらの前  青輝翼

まんじゅしゃか、は天にひらく華という。ゆうぐれの中の白華(びゃくか)は浄夜するかのようである。この世はどうにもならない闇もある。作者にもあるやもしれぬ。歩みをとめてこの歌人はなにをみつめていたのだろう。われ沙門の瞑想にも似るすがたである。
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Unknown (かすみ)
2013-11-12 01:15:41
曼珠沙華は、赤も白もそれぞれに独特の雰囲気があります。意図的に育てるのではなく、ふと気が付くと咲いて、あっという間に終ってしまいます。歌人にものを思わせる花ですね。
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