気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

柿の消えた空 喜夛隆子

2018-05-01 12:22:51 | つれづれ
み吉野の鳥獣虫魚啼きをらむ草木悉皆さやぎてをらむ

月光の夜ごとにそそぎあふれけむ棚田百枚に早苗そよげり

みはるかす大き円弧のかすみつつ海境(うなさか)といふやまとのことば

さにつらふ梅の実笊に盛りあげて潮満ちてくる朝のわたし

むかし一度ひとを載せたる月輪とふと思ふなり冴えかへる空

あをによしならのならぼけはるがすみはなもさかむよゆつくりゆかう

つたかづら生き生き家を巻き締めて閉ぢこめられし仏壇ひとつ

さみどりの斜面かぐはし一番茶摘みゆく人に立夏のひかり

とうめいのみづのひびきにつつまれてほとけもわれらもひとつこすもす

鹿たちが立つて葉を食む高さなれ鹿(デイ)の(アー)線(ライン)と名付けられたる

(喜夛隆子 柿の消えた空 角川書店)

最新の画像もっと見る