気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

「ロフ」と言うとき なみの亜子 

2018-04-12 00:44:11 | つれづれ
朝露に膝下までをひたしつつ深くなりたる草を刈りゆく

雲ふかき山の家にも人の住むまばらまばらに住むさびしさに

たっぷりと踏み込んでゆく山みちに渓流にきみのむかしの歩みは

廃校の旗立てに金具こんかんと風のリズムを鳴らす泣いてまう

晴れてさえいればなんでもないことに泣きたくなって雨中の紅葉

いつからが春でありしか羊歯となりそよげる蕨を谷に数えぬ

山帽子ことしの花のおおぶりなひらきに夜の一角白む

あさなさな尿瓶あらえる草むらにミントそだちて香りをはなつ

杖に立ち朝(あした)の窓にブラインドあげてあなたがあらわす山並み

人の世は苦痛にまみれつゆ草は雨にひらきて青いろ洗う

(なみの亜子 「ロフ」と言うとき 砂子屋書房)

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