気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

魚玄庵

2006-01-02 16:03:19 | つれづれ
一度死ねば二度とは死なぬ玫瑰(はまなす)は潮鳴りのする方へ靡かふ

飲食(おんじき)を終へれば階下と階上にそれぞれ孤りの時雨を聞きぬ

年輪より一輪車が欲しコスモスの揺れゐる原をくるくる乗らむ

苜蓿(うまごやし)墓地一面に咲き乱れ死したる者は土にぬくとし

魚玄庵と呼びてこの家に棲息すかりそめながら梅花咲きをり

(若林のぶ 魚玄記)

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若林のぶさんとそのお連れ合いの暮らしがほの見える歌が面白い。どうもお連れ合いは俳人さんらしく、彼女の歌にも季語が時折り現れる。季語は漢語から来ているものが多く、短歌に使うを硬くなると聞いたことがある。
一度死ねば・・・の歌。上句は常套句で、下句に別の風景を置いてある。ハマナスは作者のお住まいの葉山ではことさらに美しいのだろう。
飲食の歌。おふたりの暮らしの様子が垣間見える。理想的な形だと思う。個室個パソがなければ、やってられない。
年輪より一輪車・・・という若さ、可愛らしさ。
釣り好きのお連れ合いらしいが、魚玄庵とは粋なネーミング。

うちのヨメと呼ばせておいてにこやかに挨拶をする わけがわからぬ
(近藤かすみ)


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