気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

星の上 海野よしゑ

2005-11-30 23:04:09 | つれづれ
ほほゑみの内に別れしひとあまた月日は夢のなかに烟れる

幸ひを背負ひて生き来し歳月に密かにととのへられし旅路は

雨の夜の眠りのつづきに明日あると恃む心はいつまでならむ

生涯に飲酒喫煙なさざるを己がこころの勲章とする

群どりの影ひくく地をはしりゆきますます高く青き空なり

(海野よしゑ 星の上 短歌人12月号)

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短歌人同人の海野よしゑさん。
シカゴ在住で以前短歌人賞を取られた方という程度しか知らなかったが、12月号を見て亡くなられたことを知る。長い闘病ののち死を覚悟されていて、その前に退会届を出されたという潔さに感服した。
「生涯に飲酒喫煙なさざるを・・・」の歌、とてもよくわかる。この詠草を投函されたとき(またはご家族に託されたとき)どんなお気持ちだったか思うと、胸が痛くなる。
ご冥福をお祈りいたします。


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