気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人11月号  同人1欄 その3

2010-11-21 01:27:53 | 短歌人同人のうた
帰らざる死者もあらむか送り火を消してしまえば生も死もなく
(八木博信)

ゆく雲は新秋の舟月の夜を影やはらかに誰を運べる
(春畑茜)

簡単に簡単にを言うかたわらを擦り抜けてゆく大切なもの
(古本史子)

八月の画廊に魚影のごとく浮くラウル・デュフィの花をみて過ぐ
(木曽陽子)

「つ」の文字はなにか懸命チャップリンの途方にくれた腕(かいな)とおもふ
(紺野裕子)

長い長い夏の終わりに聞いているブリキの如露を打つ雨の音
(守谷茂泰)

逝きたるを措きて生者の賄ひに奔走しつつ死が遠ざかる
(武下奈々子)

草の香の匂へるなかを黄の翅をうちふるはせて飛蝗とびゆく
(神代勝敏)

父亡くて母なく里に育つ子の秋の草笛われまで届く
(平野久美子)

東京でもつとも暑き練馬区のへつりに添へる豊島区に住む
(蒔田さくら子)

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短歌人11月号 同人1欄より。
今年の夏は猛烈に暑かったので、全体に夏の暑さを詠った作品が多かった。
だれもが感じることを詠うには、独自の眼がないと他の人と似たもにになるので、より一層工夫が要ると感じた。

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