気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

宵山の街 大野友子 不識書院

2020-12-17 00:19:23 | つれづれ
おほかたのみんみん蟬は五拍子で鳴くと気づけり米をとぎつつ

風邪をひき越路吹雪のそぶりして声など真似てすごす年の瀬

左腕にちらりと目を遣り走りゆく駅伝ランナー足音たしかに

粉雪の降りしきりゐて松の枝のつがひの鳩の微妙なる距離

一ダースの曾孫の名前を覚えむと四苦八苦せし母九十七歳

西日射すいろは紅葉の若葉ゆれレースのごとき影映る道

雷鳴のをさまりたればいざ行かむ祇園祭の宵山の街へ

家に入り細目格子より眺めみる表通りは手にとるごとし

滑らかに発音せむと新元号らりるれらりるれ「令和」ととなふ

船形の火影あかあかと揺ぎをり眼下を流るる賀茂川の面に

(大野友子 宵山の街 不識書院)

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谺短歌会同人の大野友子さんの第一歌集。京都にお住まいという縁で歌集を送っていただいた。横浜から京都に割と最近に、引っ越して来られたらしい。京都の人間が京都のことをよく知っているというのは当たらないだろう。奥が深すぎる。よそから来た人の方が良く知っているかもしれない。

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