気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

広い世界と2や8や7 永井祐 左右社

2020-12-19 12:44:08 | つれづれ
よれよれにジャケットがなるジャケットでジャケットでしないことをするから

大きな猫をどかすみたいに持ち上げて書籍の山を椅子からどかす

待てばくる電車を並んで待っている かつおだしの匂いかぎながら

金色に砂が光っているようなボタンをしまう夏の夕方

袖口でスマホの画面ふいている 眠そうだけどいい顔してる

冬の街あるいてゆけば増強された筋肉みたいなダウンジャケット

真夜中はゆっくり歩く人たちの後ろから行く広い道の上

この道をいったりきたりするだけの人になりたい風がつめたい

朝がだんだん遠くのほうに引いていききれいなダンボールが残ります

とうめいな袋の中でポッキーがきれいに横に並んでいるよ

(永井祐 広い世界と2や8や7 左右社)

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どこに住んでいて、何歳で、どんな仕事か。そんなこと関係ない。その場の感覚だけが伝わる歌。ほのかに温かい。読んでいて安らぐ。

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