気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人10月号 同人のうた

2011-10-19 19:18:25 | 短歌人同人のうた
道なりに走つてゆけばよいものを 吾(あ)は立ち止まり又はみ出しぬ
(柚木圭也)

坂道を下れば夏の海見えて青に眩める少女のわれは
(木曽陽子)

滝下に立ちてあふげる朝の水やや青みたり梅雨のをはりは
(大谷雅彦)

濡れてゐたり乾いてゐたりする舗道 囚はれ人の如く見おろす
(佐々木通代)

Tシャツと口紅だけの荷物なり夏の途中を寄り道すれば
(鶴田伊津)

あまやかなわれの腐臭を感じをり木苺のジャム煮るたいくつに
(橘夏生)

蓮の花咲かんとすなり大切なもののかえらぬと思う朝(あした)を
(佐藤慶子)

いまだ明るき夕べの空に啼き出だしそのまま夜に落ちてゆく蝉
(大森浄子)

「黙祷」の声はラジオより流れ死者との距離の近き八月
(森澤真理)

涼やかにデルフィニウムの深き青眼鏡をふいに替へたくなりぬ
(望月さち美)

********************************

短歌人10月号、同人1欄から。


最新の画像もっと見る