気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2012-10-08 22:30:56 | 朝日歌壇
病室の夜明けの壁の柔らかき白さにひそと秋冷立てり
(小松島市 関政明)

砂漠地に届きし茗荷汗かきてパック開けば山の気の満つ
(アメリカ 中條喜美子)

炊き上がるご飯の匂ひたちこめて稲の花の香甘く漂ふ
(宮城県 大友道子)

*********************************

一首目。病院の壁というと堅いイメージなのだが、作者は柔らかき白さと言う。それほど長く馴染んで来られたのだろうか。秋冷立つも何か生き物が立っているように感じられる。独特な感性が魅力的。
二首目。作者はアメリカ在住だが、アメリカでは茗荷は食べないのだろうか。実は茗荷は私の大好物。遠くから届いたパックを開けたときの山の気の香り。作者の喜びが伝わる。
三首目。稲の花の香りというものを知らない。しかし嗅いでみたい気がする。上句ではご飯の匂いを、下句では稲の香を言って、対比が面白い。食べ物の歌は美味しそうなのが、一番。

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (tamaya)
2012-10-09 05:26:50
一首目の関さんは、今年、第一歌集『走る椅子』(短歌研究社)を刊行されました。ご住所は徳島県のある療育センターです。
絵も描かれる方です。
http://www.lets-ict.x0.com/gallery/4-1-1_seki.htm
返信する
Unknown (かすみ)
2012-10-09 09:39:26
tamayaさん

お知らせありがとうございます。いろいろな才能を持ってられる方なのですね。絵を見てきました。細かい写真のようでありながら、やはり人の手によるものとわかります。体温が感じられる絵でした。歌集も読んでみたくなりました。
返信する