気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人5月号 同人のうた その3

2014-05-18 16:23:06 | 短歌人同人のうた
応接間のソファーにふかくしずみこみこどものままでだれもゐられぬ
(澤志帆)

二・三日葉ぼたん雪に埋もれて丸彦質屋にひとかげはなし
(岡田経子)

残業に疲れて灯すテレビには犠牲らしく踊る少女ら
(八木博信)

ゆふばえの野をつらなりてゆく貨車のまぼろしが見ゆ紅茶の底に
(金沢早苗)

鍔広の帽子に白いワンピースふりむかないでなよたけの人
(𠮷岡生夫)

うつしみを離れて今はかろがろとおちこちに行く母の御魂は
(長谷川富市)

ミノルタのコピー機荒れて走りしは三年前のあの日あの時
(橘圀臣)

キャラメルの紙を小さくたたみをり些事のひとつに攫はれながら
(紺野裕子)

明らかによくないことと知りながらすがるがごとく煙草に火つく
(小池光)

「ああ」と言はれ「あら」と答へて久闊をわびてゐるなり改札口に
(斎藤典子)

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短歌人5月号、同人1欄より。

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4 コメント

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Unknown (teruo)
2014-05-18 23:45:35
男歌は情動的で女歌は自己完結して冷たい。ほんとうのところはそうなのかも。
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Unknown (かすみ)
2014-05-19 09:43:57
さあ、わかりません。

ポインターが動かなくなり、心配しましたが、パソコンのマウスの電池切れでした。
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Unknown (小川良秀)
2014-05-21 01:01:43
ゆふばえの野をつらなりてゆく貨車のまぼろしが見ゆ紅茶の底に   金沢早苗

紅茶はたしかにこのような情景を浮かべるものがある。貨車のまぼろし、が特異。作者はこの思いにひたって紅茶を喫んだのであろう。わが重き胸の内を夕映えに解かすかのようなつらなる貨車がまぼろしのごとくあるのだ。
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Unknown (かすみ)
2014-05-21 09:04:00
貨車と紅茶の意外な取り合わせを面白く感じました。
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