気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2011-02-28 19:54:59 | 朝日歌壇
おひなさまもうお訣れでございます人形み寺に納めまゐらす
(福井市 甘蔗得子)

わが裡の鬼は遣らはず住まはせて生き難き世の味方とはせむ
(仙台市 坂本捷子)

南中のオリオンの星巡り来て地は密やかに春の息吹す
(高松市 桑内繭)

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一首目。おひなさまとの訣れ(わかれ)とは悲しい。上句の口語のやわらかい語りかけから、下句の尊敬を込めた文語の言いまわしが、バランスよく収まっていて、内容も涙を誘う。
二首目。わが裡の鬼とはなんだろう。憎しみや嫉妬心だろうか。これを追い払うのではなく裡に秘めて、エネルギーとしようという作者の心意気を感じた。
三首目。天と地を歌った大きな景のうた。時期が来れば、ひそやかに春はやってくる。時期は天の星に統べられているから。

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