やけに澄む電話のベルは階段をかけおりる間に止みてしまへり
階段の途中で止まり泣く人がゐてもいいのにわたしの駅に
(大越泉 おりてゐるなり)
じんせいは疲れるもので階段に腰掛けたりする この小学生も
丘の石段上り切るとき悲しいのだと気づき クヌギと風に吹かれる
(久保寛容 だいじょうぶ)
風の話が聞える場所を知っていた水色の少女だったわたくし
少しずつ世界が昏くなるという祖母と東銀座の階段下りる
(高田薫 風の話が聞える場所)
階と階つなぐ汚れた平面であれど優雅に踊り場とよぶ
階段をのぼらなくては行き着けぬカフェがいくつもある吉祥寺
(若尾美智子 夜と階段)
************************************
短歌人3月号、3月の扉。今月のお題は「階段」。
鈴の音のとほく聞こゆる夕ぐれの風の道なる外の階段
(近藤かすみ 『雲ケ畑まで』)
階段の途中で止まり泣く人がゐてもいいのにわたしの駅に
(大越泉 おりてゐるなり)
じんせいは疲れるもので階段に腰掛けたりする この小学生も
丘の石段上り切るとき悲しいのだと気づき クヌギと風に吹かれる
(久保寛容 だいじょうぶ)
風の話が聞える場所を知っていた水色の少女だったわたくし
少しずつ世界が昏くなるという祖母と東銀座の階段下りる
(高田薫 風の話が聞える場所)
階と階つなぐ汚れた平面であれど優雅に踊り場とよぶ
階段をのぼらなくては行き着けぬカフェがいくつもある吉祥寺
(若尾美智子 夜と階段)
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短歌人3月号、3月の扉。今月のお題は「階段」。
鈴の音のとほく聞こゆる夕ぐれの風の道なる外の階段
(近藤かすみ 『雲ケ畑まで』)
作品そのものはよいのですから。特にあなたと対極にある第2首。
〈鈴の音の…〉
「の」が都合五つ、それも何度も読んで気づくことでまったく自然。
お題があると不自然に力わざになりますが、この歌は流れにあるべくして階段がそこにある。
お題にとらわれない独立した一首のように感じました。
もの言わないがかくれた愛読者のためにも、ご負担にならない程度にお続けを。
私も助詞止めの歌をときどき作ります。
「の」は一首に中に、いくら使ってもいいと言われているので、安心して作った歌です。
お名前お書きくださいね。
うっかりでした。
ありがとうございます。