気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人3月号 3月の扉

2013-03-01 22:26:21 | 短歌人同人のうた
やけに澄む電話のベルは階段をかけおりる間に止みてしまへり

階段の途中で止まり泣く人がゐてもいいのにわたしの駅に

(大越泉 おりてゐるなり)

じんせいは疲れるもので階段に腰掛けたりする この小学生も

丘の石段上り切るとき悲しいのだと気づき クヌギと風に吹かれる

(久保寛容 だいじょうぶ)

風の話が聞える場所を知っていた水色の少女だったわたくし

少しずつ世界が昏くなるという祖母と東銀座の階段下りる

(高田薫 風の話が聞える場所)

階と階つなぐ汚れた平面であれど優雅に踊り場とよぶ

階段をのぼらなくては行き着けぬカフェがいくつもある吉祥寺

(若尾美智子 夜と階段)

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短歌人3月号、3月の扉。今月のお題は「階段」。

鈴の音のとほく聞こゆる夕ぐれの風の道なる外の階段
(近藤かすみ 『雲ケ畑まで』)


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3 コメント

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Unknown (Unknown)
2013-03-03 01:08:12
第2首、3首のような助詞止めに違和感を感じますが、これは好みの問題でしょう。
作品そのものはよいのですから。特にあなたと対極にある第2首。

〈鈴の音の…〉
「の」が都合五つ、それも何度も読んで気づくことでまったく自然。
お題があると不自然に力わざになりますが、この歌は流れにあるべくして階段がそこにある。
お題にとらわれない独立した一首のように感じました。

もの言わないがかくれた愛読者のためにも、ご負担にならない程度にお続けを。
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Unknown (かすみ)
2013-03-03 09:43:28
二首目、三首目は四句目までが面白いので、取りました。
私も助詞止めの歌をときどき作ります。

「の」は一首に中に、いくら使ってもいいと言われているので、安心して作った歌です。

お名前お書きくださいね。
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Unknown (teruo)
2013-03-03 18:36:25
すみません。
うっかりでした。

ありがとうございます。
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