気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

花籠に月を入れて 吉川宏志

2005-08-25 21:48:40 | つれづれ
夏至過ぎて雨多きかな切られたる鰻が飯のうえでつながる

ゆうぐれのポストを傘のなかに入れ投函したりワインの礼を

颱風の近づく夕べ連打して空き家の鉄の風鈴が鳴る

巻き癖のまだ残りいるカレンダー野分の風に波打ちており

帰りたや若かりし日に ふなうたは舟を離れて水の上ゆく

(吉川宏志 花籠に月をいれて 短歌研究9月号)

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第41回短歌研究賞受賞の吉川宏志の受賞後第一回作品50首を読む。
「ポストを傘のなかに入れ」「巻き癖の・・・カレンダー」などうまい表現だと感心する。
この人は、まだ36歳なのに「帰りたや若かりし日に」と思っているのかと、また別の意味で感心。そんなに早く老成しなくてもいいのに。


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