気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2013-07-29 18:17:40 | 朝日歌壇
音楽は楽譜のように左から右へ進んでゆく、のではない
(八尾市 水野一也)

草刈機音高く鳴る炎天下まだ来ぬバスをバス停が待つ
(島田市 水辺あお)

ワラビ採り花火六発森に撃ち熊を止めての一〇分作業
(福島市 澤正宏)

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一首目。不思議な作りの歌。音楽は、流れに乗って膨らんでいき、いずれ終息するという印象だが、便宜上、楽譜では左から右にすすむように記される。楽譜とおりに演奏される音楽のつまらなさを皮肉っているのだろうか。結句の「ゆく、のではない」が表記も含めて面白い。
二首目。バス停に人が待っているのかどうかは、書かれていない。人がいるかいないかは、読者にあずけて、バス停が待っていることは事実である。上句でバス停の周辺の様子を描いているので、バス停に存在感がある。
三首目。ワラビ採りをするにも、こんな苦労があるのかと驚いた。熊が出るのを花火で防ぐということをはじめて知った。六発、一〇分という具体的な数字も効いている。知らなかったことを教えてもらった歌。

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2 コメント

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Unknown (小川良秀)
2013-08-01 07:25:13
魚肉うすくひかりを透かし大皿に山葵と三つ葉のあをを伴ふ

実際のところ、うすい魚肉にひかりを透かすであろうか。ひかりを透かさないと思うのだがこのように表現すると魚肉が美味しそうに見える。ここが詩の表現であろう。さらに、山葵と三つ葉のあをの対彩によって魚肉が鮮明となり食欲をそそるのである。
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Unknown (かすみ)
2013-08-01 10:17:31
小川さま

この歌は、真中さんの『エフライムの岸』で紹介した歌ですね。高級なお料理には縁がないのですが、ふぐの刺身など、薄く切って皿の図柄が透けて見えるように盛るそうです。それを詠ったものかと読んでいました。結句の「伴ふ」が斬新だと思いました。「添へる」としてしまいそうです。
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