気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

歌集 流轉 前登志夫

2007-10-06 20:33:16 | つれづれ
青空のふかき一日ことばみな忘れてしまひ青草を刈る

山人(やまびと)とわが名呼ばれむ萬緑のひかりの瀧にながく漂ふ

蛇苺踏みてあゆめりそのかみは剽盗(ひはぎ)なりしか菩薩なりしか

わかき日は駱駝を欲しとおもひしにやさしき瘤のごとくに老いぬ

雪雲(ゆきぐも)のあかく焼けたるゆふまぐれ天狗のむれと呑む鬼ごろし

(前登志夫 流轉 砂子屋書房)

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題詠ブログで歌を詠む方が忙しいが、やはり読まないと出来ないので、歌集も少しずつ読む。
いままで余り読んでいなかった前登志夫の歌集。
奈良県吉野の山の中に住んでおられて、自然と共に暮らしていて出来る歌の数々。
飄々としていて、人生を達観しているように見える。



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2 コメント

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かなしみは… ()
2007-10-07 06:40:54
《かなしみは明るさゆゑにきたりけり一本の樹の翳らひにけり》(前登志夫『子午線の繭』)・・・・短歌ってなんてカッコイイんだろう!と最初の最初に惹かれた一首でした。手許の現代歌人文庫・前登志夫歌集の奥付を見ると「一九七八年二月二五日初版発行」、たぶん私が初めて買った短歌の本ではないかと思います。いづれ私自身も歌を詠むようになるだろうなどとは、全く思っていなかった頃でした。
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Unknown (かすみ)
2007-10-07 09:26:18
寛さん おはようございます。
若いころから短歌を読んで来られたのですね。
私が初めて買った歌集は、小池光の『静物』でした。
短歌人に入った頃です。それまで全く短歌に縁のない生活をして来ました。私はキャリアが短いから出来が悪くてもしょうがありませんね。これからです。
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