∞(無限大)の瞳となって風船の最後の点を見つめる子供
幸せを何度も自分に言い聞かす君はさびしい半島である
子の小さき二枚の耳を洗いおりかなしき羽根のような耳たぶ
子が乳を飲まなくなりし寂しさというを聞けどもついにわからず
ようやっと昼寝せる子のかたわらに残る虫食いだらけの時間
(松村正直 やさしい鮫 ながらみ書房)
*************************
松村正直氏の第二歌集。子供さんが生まれた時期の歌が多く、父親として子育てに深くかかわる作者のすがたに感心した。会社で仕事してたら、子供が大きくなっちゃったというどこかのお父さんとは違う。実感が表れている。
幸せを何度も自分に言い聞かす君はさびしい半島である
子の小さき二枚の耳を洗いおりかなしき羽根のような耳たぶ
子が乳を飲まなくなりし寂しさというを聞けどもついにわからず
ようやっと昼寝せる子のかたわらに残る虫食いだらけの時間
(松村正直 やさしい鮫 ながらみ書房)
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松村正直氏の第二歌集。子供さんが生まれた時期の歌が多く、父親として子育てに深くかかわる作者のすがたに感心した。会社で仕事してたら、子供が大きくなっちゃったというどこかのお父さんとは違う。実感が表れている。
歌集にタンメンの歌もありました。あれからもう一年ですね。私も、読みも詠みもがんばらんとあかんな・・・と思いました。
これからもよろしくお願いします。
来月には、また「短歌人」と「塔」の合同歌会がありますね。お会いできるのを楽しみにしています。
詩とはおしなべて、悲しみをうたうものですよね。
だれでも、もしあのときああしていなかったら…という思いはあるんじゃないですか。それをどう言葉に残すかが課題です。
若手歌人では、屈指の実力をもった松村さんですから、羨ましいですよ。
松村さんは各地を渡り歩いたことで有名ですよね。
そんな彼が家庭を持ち、放浪できなくなったことによる一抹の諦念のようなものが、作品から感じられました。(間違いでしょうか?)
俵万智さんはシングルマザーになられて、
もう会わぬと決めてしまえり四十\で一つ得て一つ失う我か
という歌を詠まれました。振り幅こそ違えど、僕には二人の揺らぐ気持ちが重なって見えたのです。
とりわけ『プーさんの鼻』と同質の、失った物と得た物へのとまどいみたいなものが、少し。
なおかつ、大変味わい深い作品が多い歌人ですね。
あなたとは遠くの場所を指す言葉 ゆうぐれ赤い鳥居を渡る
これはとても素晴らしい一首。後世に残したいと思うほどです。