とめどなく内話を口に出すといふ狂気と識るや しらずうたへる
なにごとの象徴ならねガラス舎のペンギンしばしば右手を上げて
うす青きゼリーの覆ふ水菓子を舌端といふ岬にまろばす
散る紅葉語彙の林にわけいりて<ら抜き言葉>の時雨てゆくか
人の生を逆さに覗きつつ平成へ肛門科神野医院の親子三代
幾憶の匿名の子ら餓うるともウルトラマンは吾子にのみ来よ
ふみまよふ隠喩の森のけものみち ゆくひとなしにわたくしの影
貴妃の喉縊らば洩れむ緋の吐息無花果の実をもぎていましも
貴種流離たとへば月の窓辺にて頬照らさるる人体模型
(寺井淳 聖なるものへ 短歌研究社)
******************************
面白かった歌をアトランダムに書いてみる。どのページを開いても面白い歌にぶつかる。なんの目的もなく、こういう歌集をパラパラと捲って時を過ごすのは、至福のとき。
へたな解説するより、単に味わって楽しみたい。言いすぎは野暮ですから。
なにごとの象徴ならねガラス舎のペンギンしばしば右手を上げて
うす青きゼリーの覆ふ水菓子を舌端といふ岬にまろばす
散る紅葉語彙の林にわけいりて<ら抜き言葉>の時雨てゆくか
人の生を逆さに覗きつつ平成へ肛門科神野医院の親子三代
幾憶の匿名の子ら餓うるともウルトラマンは吾子にのみ来よ
ふみまよふ隠喩の森のけものみち ゆくひとなしにわたくしの影
貴妃の喉縊らば洩れむ緋の吐息無花果の実をもぎていましも
貴種流離たとへば月の窓辺にて頬照らさるる人体模型
(寺井淳 聖なるものへ 短歌研究社)
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面白かった歌をアトランダムに書いてみる。どのページを開いても面白い歌にぶつかる。なんの目的もなく、こういう歌集をパラパラと捲って時を過ごすのは、至福のとき。
へたな解説するより、単に味わって楽しみたい。言いすぎは野暮ですから。
寺井さん、一度松江であったシンポジウムにパネラーとして出ていらっしゃいましたが、素敵な方でした。
さっき東京から帰宅しました。
寺井さんの歌集はやっと読み終わりました。楽しい読書のときでした。
あとの一冊は、同じ作者のものを持っていたくて、あれと似たものを買ってしまいました。
感想はいずれ・・・。