気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

きのうの朝日歌壇

2009-01-20 00:49:44 | 朝日歌壇
刷られたる言語違へど図書館の紙のにほひに故郷を思ふ
(シンガポール 関澤元史)

寝るまでの安堵溜め込むようにしては行で食べるコンビニおでん
(高松市 新田仁史)

不当解雇を叫ぶ人あり黙々と出社するあり門を隔てて
(北九州市 四宮 修)

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一首目。図書館や書店の紙のにおいは独特であるが万国共通。印刷された言葉が違ってもそのにおいに変わりはなく、作者はそこに郷愁を感じている。いままで、このことに気付いた歌を読んだ記憶がない。この作者独自の視点が生きている。
二首目。下句、は行で食べるコンビニおでんが秀逸。はあはあ、ふうふうと熱いのが伝わってくる。
三首目。門を隔てて、解雇された人とされなかった人の対比がくっきりと出ている。時事詠として新鮮な歌。早くこういう状況から抜け出して、過去の歌として懐かしむ世の中になって欲しい。

書店にはインクと埃の匂ひあり人のにほひも確かに混じる
(近藤かすみ)


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4 コメント

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はじめまして (関澤 元史)
2009-02-28 01:04:50
はじめまして。図書館の歌を朝日歌壇に投稿した関澤です。「気まぐれ徒然かすみ草」で採り上げてくださったことは、大きな励みとなりました。実を申しますと、この時の歌には説明的過ぎないかという懸念を感じていました。「違へど」という逆接が本当に必要かという点が特に気がかりで、「目を閉じて図書館に佇つこの国の紙の匂いは故郷と同じ」などの形も考えたのですが、最終的にはコンセプトを正面から打ち出した形、説明的な形で投稿致しました。私の抱いた懸念について、近藤様のお考えを伺うことができれば幸いです。どうかよろしくお願いします。
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Unknown (かすみ)
2009-02-28 01:56:36
関澤元史さま はじめまして。

私は歌歴も浅く他人様の歌の批評を出来るような立場ではありませんが、自分の興味と勉強のために、いろいろ書いています。偉そうなこと言えるほどの者ではありませんことご理解ください。

刷られたる言語違へど図書館の紙のにほひに故郷を思ふ
目を閉じて図書館に佇つこの国の紙の匂いは故郷と同じ

取られた歌には「言語違へど」という表現があって、これがポイントだと思います。案の「この国」ではどの国かわからず弱いと思います。シンガポール在住という情報がなかったとしても、取られた歌なら一読わかります。新聞歌壇では、一首勝負なので、「一読わかる」ということが一番重要なのではないでしょうか。
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ありがとうございます (関澤 元史)
2009-03-01 00:03:23
近藤 かすみ 様

お返事をいただきまして、ありがとうございます。やはり読み手に伝わってこその作品なのだと、納得いたしました。歌会の場で批評を仰ぐ機会もないものですから、インターネットで時折いただくご意見は、掛け替えのないものとなっております。
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Unknown (かすみ)
2009-03-01 01:37:12
関澤元史さま

どこかの結社に入っておられるのでしょうか。
またネット上の歌会に参加するという方法もあります。私の知っている範囲でお知らせできますが、お名前のところをクリックしても文字化けしています。URL欄の記載をやり直していただけたら、ご連絡します。
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