気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人2月号 同人のうた その2

2013-02-18 01:02:40 | 短歌人同人のうた
つはぶきの葉に半身をうづめたる石仏に師走一日の光(かげ)
(大森益雄)

人形を作らぬ秋はさびしいと退(ひ)きていふ菊師はわれと同年
(蒔田さくら子)

ゆるやかにほどかれてゆく心根に若草のごとき老境はあり
(三井ゆき)

はなびらの剥がれるように忘れゆくあなたの顔を声よりはやく
(内山晶太)

洗たくもの干せばはしから凍みてゆくふるさとのふゆ遺詠のごとし
(紺野裕子)

ながく病み味覚おちると思ふ日の柚子の葛湯は胃腑をあたたむ
(椎木英輔)

母は子を亡くした後も母なりや関東平野に火事を求めて
(八木博信)

天皇の病状報ずる新聞にくるまれていた未使用の皿
(村田馨)

物思い一日分の重みかなかりんひとつを手にまろばせて
(守谷茂泰)

**************************************

短歌人2月号、同人1欄より。

そのをとこ心斎橋を渡りゆくむかしなじみの魚の目つれて
(近藤かすみ)

最新の画像もっと見る