気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2012-05-28 22:53:42 | 朝日歌壇
透明な傘増えゆきて交差点に花にはあらぬ海月(くらげ)が行くよ
(茨木市 瀬川幸子)

小鯛一尾余さず食(は)めばいのち一つ恵みしあとの骨うつくしき
(熊本市 高添美津雄)

耳栓でプールの喧騒かき消してさあ一匹の魚になろう
(大和市 若宮裕子)

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一首目。そういえば以前は花柄の傘がもっと多かった気がする。傘そのものが消耗品のようになって、降ってきたらコンビニでビニールの透明の傘を買ってすませるという風潮が現代なのだろう。気に入った傘ほど、忘れたりするのだ。透明の傘をさす人を海月ととらえた感性が愉快。
二首目。人間に捕えられて食べられた鯛も、きれいに骨をさらすことが出来れば本望だろう。
三首目。こちらは作者が魚になって、思う存分泳ごうという歌。下句で気持ちを切り替えているのが、よくわかる。魚のように泳ぐことができたら、愉しいだろうな。

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