気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2007-11-11 22:12:33 | 朝日歌壇
罵倒され自死せし勤め人の記事これは俺ではないと言えるか
(和泉市 長尾幹也)

死の近き息子にかける言葉なく孫をほめればかすかうなづく
(江別市 林英子)

雑兵は花を纏わず討たれけり菊人形の合戦シーン
(神戸市 内藤三男)

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今週は、心に沁みる歌が多かった。

一首目。作者の長尾幹也氏は、朝日歌壇ですっかり有名になった人。サラリーマンの哀愁を歌って巧み。一箇所気になったのは、「これは俺ではないと・・」を「これが」にすればもっと良いのではないかと思った。助詞の「が」は「は」より印象が強いから。どうだろう?

二首目。子供に先立たれる以上の不幸はないというが、それを覚悟している作者の悲しみがまっすぐに伝わる。このような強い題材の前には、肯うしjかない。

三首目。数年前からひらかたの菊人形はなくなったと聞くが、今でもどこかでやっているのだろうか。なるほどと思わせられる。

今日は悲しい歌ばかり選んでしまった。悲しみを耐えて言葉に変えるとき、感動を呼ぶのだろう。私たちが短歌に求めているものは救済か、自己実現か、楽しみか、それぞれの思いが沁みてくる。

右脚をすこし引きずり行く夫のうしろ姿がちひさく見えつ
(近藤かすみ)


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4 コメント

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Unknown (かおる)
2007-11-13 18:47:39

こんにちは、
朝日を取ってないので
近藤さんの「今日の朝日歌壇」を読むのが
とても楽しみです。
 近藤さんのちょっとしたコメントも
気がきいてて面白いです。
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Unknown (かすみ)
2007-11-13 22:43:30
かおるさん はじめまして。
読んでいただいて、ありがとうございます。
私の師匠の小池さんが読売歌壇の選者なので、そちらに変えようかと思いつつ、長い間の習慣で新聞は朝日です。読売歌壇は、図書館に読みに行きます。
思えば、小学校の卒業文集で、なりたい職業にエッセイストなどと生意気なことを書いていました。
ここで、エッセイストの真似事をしています。
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Unknown (あらつ)
2007-11-16 19:49:51
こんばんは。 
 一首目。作者はずっと以前から投稿されていらっしゃる方ですね。図書館で歌集を借り、読んだことがあります。好きな歌がたくさんありました。仕事、職場に焦点を定めて長期間詠みつづけることがすごい。
 助詞の「は」と「が」はほんとに悩ましいですね。わたしの場合、あとになって「が」にすべきだったと思うことが多いのですが。この歌もたしかに、「が」のほうがしっくりくるようです。
 
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Unknown (かすみ)
2007-11-16 22:34:24
あらつさん こんばんは。
長尾幹也さんは、朝日新聞にエッセイを連載されていたと思います。歌集も出されていることは知りませんでした。それでも朝日歌壇に投稿し続けられるのですね。新聞歌壇がお好きなんでしょうね。
助詞の選択はほんとうにムツカシイです。後悔することばかりです。
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