空の高処に輪をかく鳶と地の上を歩めるわれとあひ惹かれつつ
(酒井佑子)
どなたかの記憶の隅にひとこまに居ずまひただしく残れよわたし
(阿部久美)
頬づえをついていいのだしずかなる雪に閉じ込められるとう快
(鶴田伊津)
歳月はまぶしきものか前をゆく赤尾豆単色のジャージー
(大橋弘志)
冬の窓にひかりの刻が過ぎゆけりカミーユ・ピサロ緑の画集
(木曽陽子)
すべての電波が途絶える夜にまぼろしの業平駅のホームが灯る
(橘夏生)
朽ち木焚く炎に時雨降りかかり捨てて来たりしもののかずかず
(青輝翼)
もう二度と会はぬ気がして見送りぬ回転扉にひと去り行ける
(斎藤典子)
雪かづく椿の葉より滴りてしたたりやまぬ朝のひかりは
(渡英子)
桂さんの頭(ず)に触れてみるさようなら冬の空のように冷たし
(長谷川富市)
************************************
短歌人3月号、同人1欄より。
(酒井佑子)
どなたかの記憶の隅にひとこまに居ずまひただしく残れよわたし
(阿部久美)
頬づえをついていいのだしずかなる雪に閉じ込められるとう快
(鶴田伊津)
歳月はまぶしきものか前をゆく赤尾豆単色のジャージー
(大橋弘志)
冬の窓にひかりの刻が過ぎゆけりカミーユ・ピサロ緑の画集
(木曽陽子)
すべての電波が途絶える夜にまぼろしの業平駅のホームが灯る
(橘夏生)
朽ち木焚く炎に時雨降りかかり捨てて来たりしもののかずかず
(青輝翼)
もう二度と会はぬ気がして見送りぬ回転扉にひと去り行ける
(斎藤典子)
雪かづく椿の葉より滴りてしたたりやまぬ朝のひかりは
(渡英子)
桂さんの頭(ず)に触れてみるさようなら冬の空のように冷たし
(長谷川富市)
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短歌人3月号、同人1欄より。