気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人3月号 同人のうた その3

2013-03-22 22:56:01 | 短歌人同人のうた
やもめ暦十五年たち玄関のひいらぎの花しろく小さく
(岡田経子)

香に満ちて柚子を煮つめてゆつくりとひとり遊びぞ黄の瓶並ぶ
(望月さち美)

瞼閉じかかる赤子にかけ直す毛布が頬に触れればわらう
(猪幸絵)

香りたつさわらの御櫃(ひつ)新調し蓋をとる朝生きててよかった
(村山千栄子)

泣きしあと飲みいたる「かりん美人水」ほの甘くまた生きんと思ふ
(西橋美保)

掌上に転ばす白き一錠に助けらゐるわれかもしれず
(古川アヤ子)

岡部桂一郎と書かれし手紙の青インク机上にありて夜の雨音
(高田流子)

ねむごろに泡だて撫で来し蜜いろの石けんなにも残さぬ失せかた
(蒔田さくら子)

ジグザグミシンの針の生み出すジグザグはただ黙々と羽目を外さず
(今井千草)

帰路の子は「む、す、め、ふ、さ、ほ、せ」弾みつつ繰り返したり冬空の下
(宇田川寛之)

********************************

短歌人3月号 同人1欄より。

しをりひもあらぬ歌集の軽みもて加茂大橋を渡りてゆかむ
(近藤かすみ)

画像は加茂大橋周辺。幼いころから、買い物に散歩によく渡った橋です。