気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2013-03-18 18:05:12 | 朝日歌壇
山香町大字野原字小鳥雪は雨へと春をまとひて
(杵築市 長野なをみ)

二十五年単身赴任をして逝きしかげろふのやうなあなたの写真
(たつの市 津田照美代)

槌音も消えて夕べに五勺酌む縮みゆく町忘れるために
(石巻市 須藤徹郎)

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一首目。本当にこんな地名があるのだろうかと驚くが、雪が雨になっていく春の気配にふさわしい地名だと感じた。
二首目。単身赴任について語るなら、原稿用紙20枚くらい行けそうだ。人によるけれど、家庭生活より単身生活を好む男性には、好都合。けっこう楽しく一人暮らししていたんじゃないかと思う。知らぬが仏、言わぬが花。年数を覚えているだけでも偉い。
三首目。「縮みゆく町」という言葉に、なんとも言えない悲しさがある。五勺のささやかさがまた哀しい。