気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2013-03-11 19:00:27 | 朝日歌壇
人の死を伝える記事にわれの死の無きを確かめ朝めしを食う
(山形県 小山田子鬼)

就活ぞ一駅前でコート脱ぎあの角あのビルずんずん歩く
(京都市 安東詩織)

ヒキガエルの置きものと並び春を待つ水栽培のヒヤシンスあり
(仙台市 小室寿子)

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一首目。起きて新聞を見る作者が、訃報記事に載るはずもないのに、それを確かめることがおかしみを醸し出している。結句の「朝めしを食う」もまた生きている勢いを感じさせる。お名前はペンネームなのだろう。これもまた可笑しい。
二首目。厳しい就活に向かう作者の気合いを感じさせる歌。「コート脱ぎ」という具体的な行為、「ずんずん歩く」の勢いが力強い。初句、「就活ぞ」の「ぞ」が妙に短歌的。
三首目。水栽培のヒヤシンスは、私も小学生のころに育てた記憶があるし、子供たちが小さかったころもそうだった。ヒキガエルの置きものとの取り合わせも面白い。