気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人3月号 同人のうた その2

2013-03-20 16:22:34 | 短歌人同人のうた
二歳半の孫が来たりておづおづと「猫さん」にさはる三度(たび)四度と
(小池光)

もう二年経ちてしまえりあの午後の恐怖しだいに薄れる恐怖
(川田由布子)

忘れないことも忘るることも罪ひとつ区切りの手を合はせけり
(三井ゆき)

すれちがふ物の怪(け)の影ちらほらとありて奈良まち日の暮れ早し
(長谷川莞爾)

ふるさとをわれ有たざればあはうみの近江の人とただに歩める
(大谷雅彦)

冬もみぢ明るしマヤ暦最後の日微熱ある身を窓に凭らしむ
(有沢螢)

美濃紙を選る指先のかじかみて自分捜しという語の軋み
(梶田ひな子)

穏やかなものみの塔のふたりづれふりみふらずみ師走の半ば
(山下冨士穂)

ゆれやまぬスノーボールの中にいる私と思うひねもすの雪
(加藤隆枝)

積年がムンクの渦と流れ出てフロ釜洗浄完了しました
(小田倉良枝)

************************************

短歌人3月号、同人1欄より。

地震(なゐ)来むと教ふる地図によろけ縞くれなゐと黄のもやうなしつつ
(近藤かすみ)