二歳半の孫が来たりておづおづと「猫さん」にさはる三度(たび)四度と
(小池光)
もう二年経ちてしまえりあの午後の恐怖しだいに薄れる恐怖
(川田由布子)
忘れないことも忘るることも罪ひとつ区切りの手を合はせけり
(三井ゆき)
すれちがふ物の怪(け)の影ちらほらとありて奈良まち日の暮れ早し
(長谷川莞爾)
ふるさとをわれ有たざればあはうみの近江の人とただに歩める
(大谷雅彦)
冬もみぢ明るしマヤ暦最後の日微熱ある身を窓に凭らしむ
(有沢螢)
美濃紙を選る指先のかじかみて自分捜しという語の軋み
(梶田ひな子)
穏やかなものみの塔のふたりづれふりみふらずみ師走の半ば
(山下冨士穂)
ゆれやまぬスノーボールの中にいる私と思うひねもすの雪
(加藤隆枝)
積年がムンクの渦と流れ出てフロ釜洗浄完了しました
(小田倉良枝)
************************************
短歌人3月号、同人1欄より。
地震(なゐ)来むと教ふる地図によろけ縞くれなゐと黄のもやうなしつつ
(近藤かすみ)
(小池光)
もう二年経ちてしまえりあの午後の恐怖しだいに薄れる恐怖
(川田由布子)
忘れないことも忘るることも罪ひとつ区切りの手を合はせけり
(三井ゆき)
すれちがふ物の怪(け)の影ちらほらとありて奈良まち日の暮れ早し
(長谷川莞爾)
ふるさとをわれ有たざればあはうみの近江の人とただに歩める
(大谷雅彦)
冬もみぢ明るしマヤ暦最後の日微熱ある身を窓に凭らしむ
(有沢螢)
美濃紙を選る指先のかじかみて自分捜しという語の軋み
(梶田ひな子)
穏やかなものみの塔のふたりづれふりみふらずみ師走の半ば
(山下冨士穂)
ゆれやまぬスノーボールの中にいる私と思うひねもすの雪
(加藤隆枝)
積年がムンクの渦と流れ出てフロ釜洗浄完了しました
(小田倉良枝)
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短歌人3月号、同人1欄より。
地震(なゐ)来むと教ふる地図によろけ縞くれなゐと黄のもやうなしつつ
(近藤かすみ)