気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2012-12-24 20:21:58 | 朝日歌壇
町という字のよく似合う何もなき冬の故郷は雨の匂いす
(垂水市 岩元秀人)

大根が肩出し腹出し肉体美ほこりて吾に収穫せまる
(青森県 一ノ渡綮)

死してなお光り耀(かがよ)う玉虫を落ち葉にくるみ凍土に還す
(蓮田市 斎藤哲哉)

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一首目。町と街では、印象が違う。作者の住む故郷は、町と呼ぶのにふさわしい場所なのだろう。だから心が落ち着く。今のままの町であってほしいという気持ちが伝わる。
二首目。大根が、自己主張しているようで面白い。勢いが感じられる。
三首目。玉虫の死体が凍土に還るまでどのくらいかかるのだろう。落ち葉に包むところに作者のやさしさを感じさせる。

今夜は、クリスマスイヴ。何の変わったこともなく夜が更けてゆく。
何もないことが、一番のしあわせ。