気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人12月号 12月の扉

2012-12-15 23:16:43 | 短歌人同人のうた
ライン川河畔に沁むる夕映えに鞄をひらく手は止まりたり

十月にならば黄葉する街よ そら飛ぶかばん呆と仰ぎぬ

(紺野裕子 古き首都)

鞄座とふ星座はありや底なしのそらのかばんを夜長におもふ

曼珠沙華咲く畦道のいづこかに落とされてゐむきつねのかばん

(洞口千恵 そらのかばん)

トートバッグかかえておんなが駆けあがる抜かれたるとき甘き香ぞする

折りたたみ式の傘を取り出し大粒の雨かからぬよう鞄かかえる

(井上洋 アルティザン・アーティスト)

『センセイの鞄』の主人公のやうな恋をするらし吾娘をかなしむ

「故郷(ふるさと)」をうたへばふとも涙ぐむ寅さんも寅さんの持ちし鞄も

(水島和夫 信玄袋)

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短歌人12月号、12月の扉より。今月のお題は、鞄。