気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2010-08-16 23:19:23 | 朝日歌壇
ゆらゆらと風を送りて夏の暮れ西日に泳ぐうちわの金魚
(東京都 飯坂友紀子)

囚われて両親(おや)の死目に会えもせで歌詠むなどと我は愚か者
(アメリカ 郷隼人)

潮招きは穴にこもりて一斉に出でては消ゆる仕事なるらし
(東京都 高須敏士)

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一首目。ゆらゆらと読んでいくと終りに来るのは「うちわの金魚」。たしかにうちわの図柄にはよくあるが、これを歌にしたのはめずらしく興味をひかれた。
二首目。下句がいい。つくづく共感する。上句にはそれぞれ自分の境遇を入れたら、それぞれ面白い歌が出来そうだ。
三首目。結句の「仕事なるらし」がいい。突き離して見ている目だ。ここで一字開けすれば、もっとその効果が出ると思う。そこまでやるとあざといかも知れないが、私なら一字開けする。