気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

河野裕子さんご逝去

2010-08-13 18:29:21 | きょうの一首
遺すのは子らと歌のみ蜩のこゑひとすぢに夕日に鳴けり

(河野裕子 母系)

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河野裕子さんが亡くなられた。ミクシィのほかの方の日記で知ったが、わが家に夕刊が来てから、確認しなけらばならないと思った。

夕方まで毎日歌壇の選歌をしておられて、亡くなられたのは午後八時過ぎというから、その直前まで歌に関わっておられたことになる。そばには家族のどなたかがおられたのだろうか。

裕子さんとお話したことはないが、家がご近所なので、近くのスーパーなどで買物をしておられるのを、何度か見かけた。小柄でごくふつうの主婦という感じ。

青磁社のシンポジウムのとき、司会をされる淳さんを、舞台のそでで、ほこらしくもあり、また不安でもあるような眼で見ておられた姿が印象に残った。まぎれもなく母親の目だった。

若くして、角川短歌賞を取り、歌人として歌壇の中心的な位置におられ、家庭的にも恵まれて来られたのに、病気だけは残酷だった。

きのうの今頃はまだ、此の世に居られた時間だ。

ご冥福をお祈りします。