気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

昼顔の花が咲きました 佐藤慶子 つづき 

2009-11-29 20:15:55 | つれづれ
生きるとは生きのびること身をかわし身をかわしつつ猫の尾太し

鳳仙花はじけて来世はあのひとの想われ人でありたきなどと

わたくしの残り時間へサイフォンはコポポ・コポポと香りつつ鳴る

また今日が始まるんだね射し込みし陽を絡めつつ卵をほぐす

はじまりは終りのようだわたすげの風を引きよせ風に従う

ポインセチア置く西の窓こののちはそう成りゆきに任せてみよう

もう何年夢を見たならバオバブの木に添う風になれるだろうか

ああずっとここにいたのだ鮮やかに紅葉を揺らしつづけて風は

ありし日の夫の定位置ソファーから時間がゆらり動いたような

別るるため会いたる縁(えにし)日の暮れの三叉路に吹く風に押されぬ

(佐藤慶子 昼顔の花が咲きました 六花書林)

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素直でわかりやすい歌が多く、しんみりと心に沁みてくる。読んでいて気持ちが落ち着くのだ。おだやかな暮らしが作者にも私にも続くことを祈る気持ちになる。