気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

即今 大下一真 つづき  

2009-11-09 18:31:57 | つれづれ
菜の花の盛る土手道石仏のうたたねなさるを見てしまいたり

幼子を亡くしし母が墓参終え山茶花の花を見上げて長し

境内に千両万両の実をあまた育てて長者と人に呼ばれず

なるようになりてかくありなるようになりてゆくなりこの世というは

遠くにて褒むるは誰ぞ梅香る庭を掃きつつひとつくしゃみす

ほつほつと未央柳の咲き初めて白秋(はくしゅう)たたずむような霧雨

声高にもの言い足るは易からん日暮洗う手に十薬匂う

琉球の人ら奏ずる楽やさし戦場とせし大和人(やまとんちゆう)に

(大下一真  即今  角川書店)

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大下一真は僧侶であるためか、この歌集を読んでいると、穏やかな気持ちになることが出来た。いつも庭を掃いたり、草むしりをしているイメージ。
失礼ながら、歌壇の「レレレのおじさん」とでも呼ばせていただきたくなった。
引用した歌のなかの四首目。いやなことがあると、これを唱えてやりすごそうかと思う。今日は天気も良かったので、玄関まわりをちょっと掃いてみた。