気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2009-11-16 21:25:43 | 朝日歌壇
大き羽根纏(まと)い階段降りてくる夢は叶うとタカラジェンヌは
(茨木市 瀬戸 順治)

日本の水のやさしさやわらかさ時差まとう身にシャワー浴ぶれば
(舞鶴市 吉富 憲治)

分断の国を憂えし歌手逝きぬ「イムジン河(ガン)」を歌い広めて
(大阪府 金 忠亀)

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一首目。実は宝塚歌劇を見に行ったことはない。テレビですこし見たくらい。あの夢のような華やかさにハマる人はとことんハマるらしい。四句五句の倒置が効いている。
二首目。時差ボケという言葉があるが、あまり感じのいい言葉ではない。この歌の「時差まとう」という表現に納得した。「やさしさやわらかさ」がひらがな表記になっているのも適切。外国から日本に帰ってきてほっとされている心情がよくわかる。
三首目。先日亡くなった加藤和彦氏への挽歌。コミカルな「帰ってきたヨッパライ」が大ヒットしたので、次はどんな曲?と思っていると、分断された朝鮮半島の歌で驚かされた。当時ハングルの歌は、途中で放送禁止になったのではなかったか。イムジン河をテープ(オープンリール式)に録って、カタカナで歌詞を覚えた記憶がある。フォーククルセダーズが活動したのは、ほんの短い期間だったが、深く記憶に残っている。その後も音楽の世界で安定してさまざまな活躍をされていたので、まさかこんな別れになるとは思っていなかった。いつも、おだやかで優しそうだった笑顔が忘れられない。