気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

空晴れて

2008-12-24 23:30:07 | きょうの一首
舌の上に切手置くとき空晴れて昭和のにほひかなしくするも
(小池光 電柱のある風景 短歌研究1月号)

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きょうは年賀状の仕上げに、たっぷりと切手をなめてしまった。70枚分。あすもあと何枚かなめる予定。スポンジを濡らして使えば清潔なのに、つい手近な自分の部品を利用してしまう。便利だ。昭和のころは、そんなに清潔に拘らずに、切手など平気でなめていたような気がする。私は昭和の人間だから、切手をなめるのも平気。小池さんもついなめているんだろう。そんな昭和の大雑把さを懐かしむこころ。「かなしく」は「悲しく」よりも「哀しく」か「愛しく」の意味だろう。三句目の「空晴れて」で、歌が明るく展開してゆく。

遠つ国へゆくエアメールにさくら咲く アラビア糊のほのかな甘み
(近藤かすみ)