気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

きのうの朝日歌壇

2008-01-15 01:32:29 | 朝日歌壇
除雪機の油拭かむと古シャツを裂けば夏日の汗が匂いぬ
(群馬県 眞庭義夫)

石蕗(つわ)の花やさしき路地に心和(な)ぐイルミネーションの街歩み来て
(東京都 柴田佳美)

「みぎいせみちひだりなら道」伊賀越えの鍵屋の辻にたつ道標
(名張市 山縣みさを)

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一首目。四季のあるこの国で、自然を相手に働く人の汗の尊さを感じさせる歌。ご苦労様と言いたくなった。
二首目。クリスマスのイルミネーションを年があけても、そのまま点けている場所が多い。華やかさはもちろん良いのだが、路地に入って大人しそうな石蕗の花にほっとするという気持ちはよくわかる。
三首目。名張市にお住まいの作者の近くに、実際にそのような道標があるのだろう。その土地ならではの歴史や暮らしが感じられる。伊賀の忍者が活躍しそうな場面で鍵屋というのも面白い。

日の暮れて帰り来たれば夫をらず留守電にその声のみ残る
(近藤かすみ)