気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

香の果(かぐのみ)

2006-03-02 22:31:01 | つれづれ
かたぶきて春の空より来る鳥の腹はさげたり黒き鳶の趾(あし)

香(かぐ)の果(み)を浮かぶるごとき門(もん)のうち見つつとほればはるのひ燻(く)れぬ

(玉城徹 香貫)

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一首目。飛ぶ鳥のあしが腹から下がっているというのは、うすうす気づいていたが、言葉にして見せてもらって腑に落ちた。鳶のあしと言うことは、鳥が鳶だと言うことだろうか。
二首目。香の果(かぐのみ)というのは、お菓子のことだろうか。熟れた柿なら甘さもたっぷりだが、季節が春の一連なのでこれはなんだろう。寒天の中にさくらんぼや桃を封じこめたお菓子がある。あれが門のうちの木に実っているようなおいしそうな歌だ。

玻璃窓に矩形に切られ春の景けふは楊の風に吹かるる
(近藤かすみ)